離島の地域防災とインフラ
新潟青陵大学・短期大学部幼児教育学科2年生の学生3名が【新潟県岩船郡粟島浦村】を訪れ、離島における消防団の取り組み等を取材しました。
テーマ:防災・インフラ、消防団活動 取材場所:新潟県岩船郡粟島浦村 取材期間:2024/3/1~3/4
学生の取材記事(PDF)はこちらから
今回私たちは、新潟県北部の日本海に浮かぶ「粟島」にお邪魔させていただきました。
「粟島」とは
粟島は、島民が約350人で周囲は約23km、自転車を使って3時間で島を一周することができる小さな島です。透き通った海や大自然、新鮮な魚介類、島に暮らす人々の温かさで溢れています。
島内の電気は、島外から運んできた油を使って火力発電所で発電しており、島民が使う電気は島内で賄われています。また、保育園・デイサービス・通所介護・診療所の複合施設があることや、島内には消防署が無いため、島民で消防団を結成するなど、人が少ないからこそ島民同士の連携が大切です。
また、「しおかぜ留学」という制度を導入しており、粟島浦小学校・粟島浦中学校に入学・転校希望する児童を受け入れ、島の人たちとの交流を通して社会性を身に付ける新しい教育の挑戦を行っています。現在「しおかぜ留学」をしている児童は16名です。それにともなって移住者に対する住まいの確保や制度も充実しています。
粟島のインフラについて
「しらせあい」というアプリを活用して天気、粟島汽船の運航状況、予約など住民のみに関わらず、観光客などにも有益な情報を発信したり、フリーWi-Fiなどが活用できます。各家庭にWi-Fiの機械を準備し、島内どこでもネットを利用できるメリットがあります。機械を準備しないといけないという大変な部分はありますが、ネットが使えることで格安の携帯利用料金で済み、両者が得するという関係性を築くことが出来ます。
また「しらせあい」を導入することで将来的には回覧板を電子化して島民一斉に送れるようにすることがさらなる島の発展につながるという狙いを持っています。
粟島の防災について
土砂崩れによる被害があったとき、釜谷地区はさっこい交流館、内浦地区は粟島浦村小中学校、観光案内所に避難します。そして地震による津波の被害の時は住まいの近くの高台に避難し内浦地区は粟島浦村小中学校、八社神社、釜谷地区は六社神社(備蓄倉庫)に避難します。しかしトイレなどの設備不備などから実際に避難する人が少なかったという問題点が今年の元旦に起こった能登半島地震で明らかになりました。
粟島浦村消防団について
粟島浦村には消防署がなく地域の人たちで火事が起きたときに火を消すことが求められます。そのため消防団講習では基礎的な動きを入念に行い、チームの士気を高め実際の火事を想定した訓練を行っています。一つ一つの動きが終わると団員同士で繰り返し確認し合い、上下関係に関わらず話し合う姿がありました。消防署がないからこそ地域の人々は火事が起こらないように細心の注意を払っています。また過去に大規模な火事が起こったことをきっかけにさらに火の元を確かめるようになったとと言います。過去の出来事を無駄にはせずに住民が安心して過ごせる島を作っていくのが消防団の務めであると考えます。
今回の活動を通して感じた課題
粟島では島民、観光客の減少が一番の課題だと考えます。後継者不足や島民の高齢化など現代の日本の課題ともいえる状況が島内でも見受けられます。災害が起こった時の避難や消防活動でも、若手の力が必要になってきます。その状況を打破するために私たちが考えた案として、
1.「しおかぜ留学が出来る年齢層を広げ、小学生から大学生を対象にする」
しおかぜ留学のみに限らず、ワーキングホリデーのような期間限定で参加できるようにすれば、島に訪れるきっかけ作りにもなる。そして高校生、大学生になると友達同士で島に来やすくなり、思い出を作りながら島の良さを知ることができる。その結果、また来たいという気持ちにつながる。
2.「あらゆる方面から粟島の魅力を伝える」
海、山などの自然が好きな人、落ち着いた環境で子育てがしたい人、島に移住したい人、キャンプなどのアウトドアを楽しみたい観光客の方々に粟島の魅力をホームページ、インスタグラム、紙媒体などフルに活用し伝える。
3.「避難場所の設備を整える」
避難場所の暖房やトイレなどの設備不備から実際に避難する人が少なかったという問題点が元旦の能登半島地震で明らかになったため、設備をきちんと整えることで近くの人々が避難しやすくなると考える。
最後に....
今回初めて粟島にお邪魔させていただいて、自然の豊かさはもちろんのこと、島民の方々の温かさに触れ、また粟島を訪れたいと強く思いました。この記事を通してより多くの人に粟島の魅力を知っていただき、実際に島へ訪れて、その魅力を体感して欲しいです。Let’s go to AWASHIMA!
4日間という短い間でしたが、様々なことを丁寧に教えてくださった島民の皆様
本当にありがとうございました。
《本取材は、一般社団法人北陸地域づくり協会の研究助成事業の支援により実施いたしました。》